辞めたい・転職判断

人手不足の職場を辞めるのは無責任?退職の罪悪感と会社の責任を分ける

なやま

「自分まで辞めたら、勤務が回らなくなるかもしれない」

「残る職員に負担をかけるのが申し訳ない」

「利用者さんにも迷惑がかかるのではないか」

人手不足の介護現場で働いていると、辞めたい理由があっても、こうしたことが気になって退職を決められないことがあります。

会社や上司から「今辞められると困る」「次の人が見つかるまで残ってほしい」といった趣旨で引き止められれば、なおさら自分が無責任なことをしようとしているように感じるかもしれません。

ただ、人手不足の職場を辞めることだけで「無責任」と決めることはできません。

一方で、「人手不足は全部会社の問題なのだから、何も気にせず辞めればいい」という話でもありません。

大切なのは、退職する自分ができることと、職場側が調整することを分けることです。

そのうえで、同僚や利用者さんへの申し訳なさだけではなく、自分は本当はどうしたいのかまで含めて考えてみましょう。

この記事のポイント
  • 人手不足による影響を、一人で全部背負わない
  • 自分が行う引き継ぎと、職場側が調整することを分ける
  • 申し訳なさとは別に、自分が本当はどうしたいのかを確認する

人手不足の職場を辞めることだけで「無責任」とは決められない

人手が足りない職場から一人抜ければ、残る職員の勤務や業務に影響が出ることはあります。

だから、

「迷惑をかけたくない」

「もう少し人が増えるまで待った方がいいのでは」

と思うこと自体は不自然ではありません。

私自身も、人手不足の職場を辞めることに引け目を感じた経験があります。

ただ、ここで一度分けておきたいことがあります。

職場に影響が出ることと、その影響をすべて退職する一人が背負うことは同じではありません。

介護職一人ができるのは、自分の仕事をすることや、必要な情報を引き継ぐことまでです。

誰を採用するのか。

どこから応援を出すのか。

残った人数でどのようなシフトを組むのか。

業務量をどう調整するのか。

こうしたことは、現場の一職員だけでは決められません。

人手不足による影響を気にすることと、職場全体の人員管理まで自分の責任だと考えることは、分けておいた方がいいと思います。

退職するとき、自分がすることと職場が調整することを分ける

では、どこまでを自分の責任として考えればいいのでしょうか。

職場や立場によって細かな内容は変わりますが、次のように分けて考えることができます。

自分が確認・対応すること職場・管理側が調整すること
退職の意思を必要な相手へ伝える後任者の採用
就業規則や雇用契約などを確認する人員配置の見直し
担当している業務を整理する応援職員等の調整
必要な利用者情報や注意点を引き継ぐシフトの再編
自分の立場に応じた引き継ぎをする残る職員の負担調整
返却物や必要な手続きを確認する必要に応じた業務量や体制の調整

通常の退職であれば、自分の立場に応じた引き継ぎはしておいた方がいいと私は考えています。

担当していたことを何も伝えずに離れれば、現場が余計に混乱する可能性があります。

一方で、後任者そのものを自分で用意することまで、退職する職員の仕事ではありません。

後任がいつ採用できるかは、自分では決められないからです。

ここが曖昧になると、

「まだ人が入っていないから」

「今辞めるとシフトが作れないから」

と、退職の判断を先送りし続けることがあります。

自分ができる引き継ぎと、職場側でなければ動かせないことを分けておくだけでも、退職への罪悪感を整理しやすくなります。

「次の人が見つかるまで」と引き止められたら、何が変わるのかを見る

人手不足の職場では、退職を伝えたときに引き止められることもあります。

私自身も、退職を考えた際に「辞められると困る」「次の人が見つかるまで残ってほしい」といった趣旨で引き止められた経験があります。

ただ、私は後任が見つかる時期と、自分がその職場を辞めるかどうかは切り離して考えていました。

もちろん、これは誰でも簡単に割り切れることではないと思います。

断ったら職場を見捨てるように感じる人もいるでしょう。

だからこそ、「残ってほしい」と言われたときは、その言葉だけではなく、具体的に何が変わるのかを見てみてください。

たとえば、

  • 人員補充について具体的な動きがあるのか
  • 自分が辞めたい原因について改善策が示されているのか
  • いつまでに何をするのかが決まっているのか
  • これまで相談した内容に対して実際に変化があったのか

といったことです。

「人が入るまで待ってほしい」だけでは、いつまで待てばいいのか分かりません。

また、そもそも退職を考えた理由が職場環境や勤務条件などにあるなら、人員が一人増えるだけでその問題が解決するとも限りません。

私の場合も、改善してほしいことを伝えたり、働きかけたりしても変わらないことが、退職を考える理由の一つになっていました。

だから、「人が足りないから残ってほしい」と言われたときには、自分が辞めたい原因に対して、職場は何を変えようとしているのかまで確認してよいと思います。

引き止められたことだけを理由に、自分の判断を白紙に戻す必要はありません。

同僚や利用者さんが気がかりでも、自分の希望まで後回しにしない

人手不足の職場を辞めにくい理由は、会社からの引き止めだけではありません。

一緒に働いてきた職員が大変になることや、関わってきた利用者さんのことが気になる人もいると思います。

私の場合、同僚が心配だから退職そのものをやめた経験はありません。

それよりも強かったのは、「まだ利用者さんへのケアを続けたい」という気持ちでした。

職場には辞めたい理由があっても、利用者さんまで嫌いになるわけではありません。

「この人へのケアをもう少し続けたい」

「ここで離れていいのだろうか」

と思い、退職を決めにくくなったことはあります。

それでも、職場を離れるかどうかを考えるときには、人間関係や改善されない職場環境、勤務条件なども含めて考えてきました。

それらを天秤にかけた結果、このままここで続ける理由がなくなったと感じたところで、職場を離れる判断をしました。

利用者さんを大切に思う気持ちがなくなったから辞めたわけではありません。

ここは分けて考えてよかったと思っています。

同じように、

「同僚に申し訳ない」

「利用者さんが気がかり」

という気持ちがあるからといって、その気持ちを消す必要はありません。

ただ、大切に思っていることと、その職場に残り続けなければならないことは別です。

申し訳なさが残っていても、それとは別に、自分自身がどうしたいのかも判断材料へ入れてみてください。

残るか迷ったら、「人手不足」をいったん外して考えてみる

人手不足の職場を辞めるか迷っていると、

「自分が抜けたらどうなるか」

ばかりを考えてしまうことがあります。

そんなときは、一度だけ人手不足という事情を横に置いてみてください。

そして、同僚への申し訳なさや、職場を困らせたくないという気持ちをいったん横に置いたとき、自分は本当はどうしたいのか。

そこを確認してみてほしいと思います。

たとえば、次のように考えられます。

  • 人手不足でなかったとしても、この職場で働き続けたいか
  • 何が変われば、ここで続けたいと思えるのか
  • 辞めたい理由について、すでに職場へ伝えているか
  • 伝えたあと、具体的に変わったことはあったか
  • 「人が増えるまで」という条件に期限はあるか
  • 今ここに残っている一番大きな理由は、自分の希望なのか、申し訳なさなのか

この答えによって、次の行動は変わります。

改善されるなら、もう少し続けたいと思う人もいるでしょう。

まだ伝えていないことがあるなら、退職を決める前に一度相談するという選択もあります。

一方で、すでに伝えていても変わらず、自分自身もここで働き続けたいと思えなくなっているなら、退職準備へ進むことも一つの選択です。

人間関係が主な理由で「ここまでで辞めてもいいのだろうか」と迷っている場合は、「介護職は人間関係だけで辞めてもいい?退職を考える5つの条件」で、退職を考える具体的な条件を整理しています。

また、「辞めるのは逃げではないか」「せめて3年は続けるべきではないか」と別の迷いが出ている場合は、人手不足とは違う問題です。

「介護職の転職は逃げ?『どこも一緒』『3年は続けるべき』に迷ったときの考え方」では、周囲の一般論ではなく、自分の条件から判断する方法を整理しています。

人手不足への罪悪感だけで、残るか辞めるかを決める必要はありません。

自分ができる協力はする。

職場でなければ調整できないことは、職場側へ戻す。

そのうえで、自分はここで働き続けたいのかを考える。

その順番で整理すると、「職場が困るから」だけに止まっていた判断を、自分自身の働き方へ戻しやすくなると思います。

まとめ|申し訳なさがあっても、自分の希望とは分けて考える

人手不足の職場を辞めれば、周囲への影響がまったくないとは限りません。

だから、同僚や利用者さんへの申し訳なさを感じることまで否定する必要はありません。

ただ、その気持ちと「自分が退職してはいけない」という結論は別です。

退職するときには、自分の立場に応じて必要な引き継ぎをする。

その先の採用や配置、シフトなどは、職場側で調整する。

そして最後に、人手不足や申し訳なさをいったん横に置いたとき、自分はどうしたいのかを確認してみてください。

それでもこの職場で続けたいのか。

何かが変われば続けたいのか。

それとも、もう次へ進みたいのか。

どれを選ぶにしても、「人が足りないから」という理由だけで決める必要はありません。

人手不足を外して考えても、まだ迷う方へ

「人が足りないから残る」という理由をいったん外してみても、

「もう少し今の職場で続けるのか」
「職場に改善を求めるのか」
「介護職のまま別の職場へ移るのか」
「介護以外の選択肢も見てみるのか」

と、その先で迷うことがあります。

そんなときに、今の状況と選択肢を一度並べて考えられるよう、4つのワークをnoteにまとめました。

今つらいこと、自分で動かせそうなこと、職場側に戻した方がいいことを整理しながら、今の第一候補を考えます。

最後に、次の14日で何をしてみるか、いつ見直すか、どんな状態なら次の選択肢を考えるかまで書き出します。

申し訳なさだけで残るか辞めるかを決めず、自分は次にどうするのかまで整理したい方に向けた内容です。

転職する方向へ気持ちが固まったものの、「次に何から始めればいいのか」がまだ整理できていない場合は、こちらの記事で転職活動を始める前に確認したいことをまとめています。

介護職が転職すると決めたあと、何から始める?活動前に整理したいこと
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著者プロフィール
なやま
なやま
介護職約10年|介護福祉士|心理資格3種|複数回の転職を経験 介護現場の人間関係・職場の理不尽・自責や「辞めたい」を、実体験と心理の両面から整理。 自分だけの問題だと抱え込まず、残る・相談する・異動する・転職するなど、次の行動を選ぶための判断材料を発信しています。

介護の仕事で感じたことや、私自身の経験・考え方はnoteでも書いています。

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