辞めたい・転職判断

介護職は人間関係だけで辞めてもいい?退職を考える5つの条件

介護職が人間関係を理由に退職を考えるときの5つの条件を確認するイメージ
なやま

「人間関係だけで辞めるのは甘えなのではないか」

「介護の仕事自体は嫌いではないのに、こんな理由で辞めていいのだろうか」

職場の人間関係がつらくても、退職を考え始めると、自分の我慢不足のように感じることがあります。

結論から言えば、人間関係を理由に退職を選ぶこと自体は、甘えとは言い切れません。

大切なのは、「人間関係だけ」という理由の名前ではなく、その問題がどこまで繰り返され、仕事や自分の状態にどの程度影響しているかを見ることです。

報告や確認がしづらい。必要な連携を避けるようになる。誰かの機嫌を気にしながら働き続ける。職場へ行くこと自体がつらくなる。

ここまで影響が広がっているなら、「人間関係だけ」と小さく扱う必要はありません。

一方で、一度気まずくなった、苦手な人が一人いる、というだけで退職を急ぐ必要もありません。

この記事では、人間関係を理由に退職を考えるときに確認したい5つの条件を整理します。

5つすべてに当てはまらなければ辞めてはいけない、というチェックリストではありません。

自分を責めるためではなく、「まだ改善を試すのか」「離れることも現実的な選択肢なのか」を判断する材料として使ってください。

この記事のポイント
  • 人間関係の悩みは「人間関係だけ」と軽くせず、仕事や自分への影響を見る
  • 問題の繰り返し・仕事への支障・改善の実効性・職場の空気・心身への影響の5条件で整理する
  • 最後に「職場の改善余地」と「自分の余力」を分け、次の一手を考える

人間関係は、辞める理由として小さく扱わなくてよい

介護の仕事では、一人だけで完結する業務はほとんどありません。

申し送りをする。利用者の状態を共有する。分からないことを確認する。介助方法を相談する。急な変化があれば周囲と連携する。

そのため、人間関係の問題は単純な「好き嫌い」だけでは終わらないことがあります。

介護職が人間関係を理由に職場を離れること自体も、珍しいことではありません。

令和7年度の介護労働実態調査では、直前も介護関係の仕事だった人が前職を辞めた理由として、「職場の人間関係に問題があったため」が27.3%で最も多くなっています。

もちろん、この数字だけで「人間関係がつらければ辞めた方がいい」と判断することはできません。

だからこそ、理由の名前だけではなく、今の人間関係が仕事や自分の状態へどこまで影響しているかを確認することが大切です。

出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査」

苦手な人がいることと、

  • 怖くて必要な報告ができない
  • 聞くと嫌な顔をされるため確認を避ける
  • 人によって言うことが違い、毎回怒られる
  • 誰かの機嫌によって職場の空気や仕事の進め方が変わる

という状態は分けて考えた方がよいでしょう。

後者まで進んでいるなら、すでに仕事にも影響している問題です。

私自身も、人間関係の問題が繰り返され、相談しても状況が変わらず、次第に職場へ行くことそのものがつらくなった経験があります。

改善する可能性を考えること自体は悪くありません。

ただ、これまで何度も同じことが続き、自分なりに動いても変わっていないのであれば、「いつか変わるかもしれない」という期待だけを理由に耐え続ける必要はないと今は思います。

退職を考えるときに確認したい5つの条件

1.問題が一時的ではなく、繰り返されているか

まず見たいのは、その人間関係の問題が一度きりなのか、何度も繰り返されているのかです。

どの職場でも、意見がぶつかったり、忙しさから言い方が強くなったりすることはあります。

一度の行き違いであれば、話し合いや時間の経過で落ち着く場合もあります。

一方で、

  • 「また同じことで責められた」
  • 「少し良くなったと思ったら元に戻った」
  • 「人が変わっても同じような問題が繰り返される」

という状態なら、一時的な衝突とは分けて考えた方がよいでしょう。

問題が繰り返されている背景には、個人同士の相性だけではなく、職場の指導方法や情報共有、管理の仕方などが関係していることもあります。

「今回は自分が我慢すれば終わる」と考える前に、同じようなことがこれまでどのくらい繰り返されてきたかを振り返ってみてください。

2.報告・確認・連携など、仕事に支障が出ているか

次に、人間関係の問題が実際の仕事へ影響していないかを見ます。

たとえば、

  • 「怒られそうだから報告を後回しにする」
  • 「質問すると嫌な顔をされるので、自分だけで判断する」
  • 「関わりたくないため、必要最低限しか情報を共有しなくなる」

といった状態です。

人間関係が悪いことそのもの以上に、必要な仕事がしづらくなっていることが重要です。

介護では、報告や確認、情報共有が利用者への対応にもつながります。

そのため、「自分が嫌な思いをしているだけだから我慢すればいい」とは限りません。

人間関係によって、本来行うべき報告や確認まで難しくなっているなら、退職を考える材料の一つとして扱ってよいと思います。

3.相談・調整・異動など、改善する選択肢が実際に機能するか

問題があるからといって、すぐに辞める必要があるとは限りません。

相談することで状況が変わる職場もあります。

配置や組み合わせを変えたり、管理者が間に入ったりすることで働きやすくなる場合もあるでしょう。

ここで大切なのは、改善する方法が「あること」と、実際に「機能していること」は別だということです。

  • 「何かあったら相談してください」と言われていても、相談すると「あなたも悪い」で終わる。
  • 何度伝えても対応されない。
  • 一度話を聞かれただけで、その後は何も変わらない。

その状態であれば、「相談できる制度があるのだから、まだ耐えなければならない」と考える必要はありません。

私自身も、相談しても状況が改善しなかった経験があります。

だからこそ、見るべきなのは相談した回数ではなく、自分なりに改善を試した結果、実際に何か変わったかだと思っています。

変化がない状態が続いているなら、「次こそ変わるかもしれない」だけを残る理由にしないことも大切です。

4.安全・公平・尊重より、相手の機嫌や職場の空気が優先されていないか

人間関係の悩みの中には、単純な相性では片づけにくいものがあります。

たとえば、

  • 人によってルールが変わる
  • 機嫌の悪い人に周囲が合わせ続ける
  • 指摘される人とされない人が決まっている
  • 必要な意見を言うと「空気を読めない」と扱われる
  • 問題を伝えた側が面倒な人として扱われる

といった状態です。

誰にでも好き嫌いや相性はあります。

しかし、仕事の基準より誰かの機嫌や職場の空気が優先されているなら、個人間の相性だけではなく、職場の問題として考える必要があります。

もちろん、自分側に改善できる部分がまったくないと決めつける必要もありません。

自分の伝え方や行動を振り返ることはできます。

それでも、毎回誰かの機嫌を読まなければ仕事が成り立たない状態まで、自分の努力だけで背負う必要はないと思います。

5.心身や生活への影響が続いていないか

最後は、自分自身の状態です。

私はここを軽く扱わない方がよいと思っています。

  • 職場へ行くことを考えるだけでつらい。
  • 休みの日まで仕事のことが頭から離れない。
  • 家に帰っても何もする気力が残らない。
  • 眠れない、食事が取れないなど、日常生活にも影響が広がっている。

そこまで来ているなら、「人間関係だけなのだから我慢しよう」と考え続けることには慎重になった方がよいでしょう。

退職を考えると、

「自分が弱いからだ」

「みんな我慢している」

「逃げたと思われる」

と自分を責めたくなることがあります。

ですが、退職判断で見るべきなのは、自分が弱いか強いかではありません。

この環境で働き続けられる状態が、自分に残っているかです。

私は最終的に、自分の限界を感じたことが大きな判断材料になりました。

心身の不調が深くなってからでなければ、環境を変えてはいけないわけではありません。

「まだ完全に限界ではないから」と耐え続けるのではなく、限界へ近づいていること自体を判断材料にしてよいのだと思います。

5つの条件を見たら、「改善余地」と「自分の余力」を確認する

この5条件は、退職するかどうかを機械的に決めるためのものではありません。

「最後に確認したい2つ」

1.この職場には、まだ改善を試せる余地があるのか
2.それを試せるだけの余力が、自分に残っているのか

問題が一時的で、相談できる相手がおり、実際に対応してもらえる可能性がある。

自分自身にも「もう少し試してみたい」と思える余力が残っている。

その場合は、すぐに退職を決めず、相談や調整を試すこともできます。

反対に、

  • 同じ問題が繰り返されている
  • 報告や確認など仕事にも支障が出ている
  • 改善を求めても状況が変わらない
  • 職場全体が誰かの機嫌や空気を優先している
  • 自分自身も限界に近づいている

という条件が重なっているなら、離れることを現実的な選択肢として考えてよいと思います。

辞めることを正当化するために、自分が完全に限界になるまで耐え続ける必要はありません。

まずは5つの条件を見ながら、今の職場に残るための「改善余地」と、自分に残っている「余力」を分けて考えてみてください。

相談・異動・転職の判断は、それぞれ分けて考える

この記事では、人間関係を理由に退職を選択肢に入れるかどうかを整理しました。

ここから先は、状況によって次に考えることが変わります。

相談を試すなら、「介護職の人間関係を相談するとき|相談相手・伝え方・最初の順番」で、誰に何を伝えるかを整理しています。

今の施設には残りたいけれど、異動で変えるのか、転職まで考えるのか迷う場合は、「介護職の異動と転職、どちらを選ぶ?変えたいものから考える判断基準」で、自分が変えたいものから二つの選択肢を整理しています。

離れると決めて次の職場を考える段階なら、「人間関係のよい介護施設を見分けるには|求人・見学で見る職場の土台」で、求人・見学・面接で確認できるポイントを整理しています。

まずこの記事を読んだ段階では、人間関係で辞めることが甘えなのかを考え続けるよりも、5つの条件を使って今の状況を見直してみてください。

最後に、自分へ聞いてみる

「この環境で、自分はこれからも働き続けられるのか」

今すぐ辞めると決めるためではなく、これ以上、自分の限界を見ないふりをしないための確認です。

著者プロフィール
なやま
なやま
介護職約10年|介護福祉士|心理資格3種|複数回の転職を経験 介護現場の人間関係・職場の理不尽・自責や「辞めたい」を、実体験と心理の両面から整理。 自分だけの問題だと抱え込まず、残る・相談する・異動する・転職するなど、次の行動を選ぶための判断材料を発信しています。

介護の仕事で感じたことや、私自身の経験・考え方はnoteでも書いています。

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