介護職で自分ばかり仕事をしていると感じたとき|業務負担の偏りを相談前に整理する方法
勤務が終わったあと、
「今日も自分ばかり動いていた気がする」
「またあの人の仕事まで終わらせていた」
「頼まれてはいないのに、気づけば自分の仕事になっている」
そんなモヤモヤが残ることがあります。
一方で、
「ほかの職員にも、自分には見えていない仕事があるのかもしれない」
「自分が細かいところまで気にし過ぎているだけなのでは」
と考えて、不満を口にしにくい人もいると思います。
実際、仕事の負担は単純な件数だけでは比較できません。
身体介助が多い人もいれば、コール対応や突発的なフォローが多い人、記録や確認、調整など表からは見えにくい仕事を担っている人もいます。
だからこそ、「自分ばかり大変」という感覚だけで誰かを怠けていると決める必要はありません。
ただし、同じ人が継続して周囲の仕事を拾い、通常の担当に加えてフォローや調整まで背負っているなら、「気にし過ぎ」で終わらせる必要もありません。
この記事では、「自分ばかり仕事をしている」という感覚を、誰かを責める材料ではなく、管理者へ相談できる事実に変えるために、次の4点から整理していきます。
自分ばかり仕事をしていると感じたら、まず「負担の中身」を分ける
「自分の仕事量が多い」と思ったとき、最初から「自分は○件、あの人は○件」と数だけで比べると、実際の負担を見誤ることがあります。
介護現場の仕事には、見え方の違う仕事が混ざっているからです。
たとえば、一日の仕事を次のように分けてみます。
本来の担当業務
食事介助、排泄介助、入浴介助、記録など、その日の役割として割り振られている仕事。
突発対応
コール、転倒リスクへの対応、利用者の急な状態変化、予定外の介助など。
ほかの職員のフォロー
終わっていない介助の手伝い、記録の確認、残った片付け、抜けている業務の穴埋めなど。
見えにくい仕事
物品の補充、連絡・確認、申し送りの整理、配置調整、記録漏れの確認など。
同じ「一つの仕事」でも、必要な時間や身体的な負担、判断責任は違います。
そのため、「何件やったか」だけではなく、どんな仕事を、どのくらいの頻度で、自分が追加して担っているかを見る方が、偏りを整理しやすくなります。
一時的な助け合いと、特定の人へ固定された負担は違う
介護現場では、利用者の状態変化や急な欠勤で、予定どおりに仕事が進まない日もあります。
そうした日に、その場の状況に応じてお互いにフォローし合うこと自体は、チームで働くうえで必要な場面があります。
ただ、一時的な協力と、
「いつも同じ人が不足分を埋める状態」
は分けて考えた方がよいでしょう。
たとえば、
「忙しい日だけ手伝う」のと、
「この人が終わらせてくれる前提で、毎回同じ業務が残っている」
のでは意味が違います。
また、ほかの職員にも自分には見えていない担当や事情がある可能性はあります。
だから、いきなり「あの人は仕事をしていない」と決めるのではなく、
- 同じフォローが何度も続いているか
- 誰がやるか決まっていない仕事が毎回自分へ来ていないか
- 自分の本来業務へ影響が出ているか
という形で確認します。
事情が分からないことと、偏りを確認してはいけないことは別です。
「自分が拾った仕事」と「職場から任された仕事」を分ける
負担が増えているときに、もう一つ確認したいのが、
その仕事を誰が自分へ任せたのか
です。
明確に担当として割り振られた仕事もあれば、
「誰もやっていないから自分がやった」
「気づいたから片付けた」
「このままだと利用者や次の勤務者が困るから対応した」
という仕事もあります。
必要な仕事を放置しないことは大切です。
ただし、「気づいた人が全部やる」が続くと、本来は職場全体で考えるべき分担の問題が見えにくくなることがあります。
私自身、介護士としての業務に加えて、記録管理や確認、所長・ケアマネジャーのフォロー、安否確認、配置調整などを担った経験があります。
一つひとつは必要な仕事でも、それが積み重なっていくと、
「どこまでが自分の役割なのか」
「追加で担っている仕事を、職場はどう位置づけているのか」
が曖昧になっていきました。
ここで大事なのは、「自分の方が働いている」と証明することではありません。
今やっている仕事の中で、正式な担当と、自分が穴を埋めるために拾っている仕事を分けることです。
それが分かると、相談するときも「不公平です」だけではなく、「この仕事は誰の担当として考えられていますか」と確認しやすくなります。
相談前は「何をしているか」だけでなく「何に影響しているか」も残す
負担の偏りを相談するとき、
「いつも私ばかりです」
「○○さんが全然動きません」
だけでは、管理者も状況を確認しにくいことがあります。
相談前には、次のような事実を分けておくと伝えやすくなります。
- 本来、自分が担当していた仕事
- 追加で行った仕事
- どのくらいの頻度で起きているか
- 誰の仕事だったのか、そもそも担当が決まっていたのか
- 追加対応によって自分の仕事が遅れたか
- 残業、休憩、安全面などに影響が出たか
たとえば、
「最近忙しい」
よりも、
「この1週間、通常の担当業務に加えて、他職員の記録確認と片付けを4日担当している」
の方が、何を確認すべきかが見えやすくなります。
すべてを細かく記録する必要はありません。
まずは数日分でも、
本来の担当/追加で行った仕事/その影響
の3つを分けるだけでも、感覚だったものが確認できる事実へ変わります。
相談に使う記録の具体的な残し方は、介護職が人間関係の相談前に残したい記録|事実メモの書き方で整理しています。
管理者には「誰が悪いか」ではなく、役割と優先順位を確認する
負担の偏りについて相談するときは、特定の職員への評価より、
今の業務配分をこのまま続けてよいのか
を中心にすると話が整理しやすくなります。
確認したいのは、たとえば次のようなことです。
「どこまでが自分の担当なのか」
「複数の仕事が重なった場合、何を優先するのか」
「今、自分が行っているフォローは一時的なものなのか」
「継続して担当するなら、役割や評価の中でどう位置づけるのか」
「業務をほかの職員と分担できないか」
確認したいことが整理できたら、相談するときに長く説明する必要はありません。たとえば、次のように伝えられます。
管理者に相談することは、ほかの職員を責めることと同じではありません。
個人同士で決められない役割や優先順位であれば、管理する側に確認する必要があります。
相談した後は「説明されたか」「分担が変わったか」を見る
相談したら、その場で納得できる返事があったかだけではなく、その後の対応も確認します。
たとえば、
- 担当範囲が説明された
- 優先順位が決められた
- 業務の分担が見直された
- 誰が行うか曖昧だった仕事に担当がついた
- 継続的に担っている仕事について役割が確認された
といった変化があるかです。
一方、
「みんな大変だから」
「できる人がやればいい」
といった説明だけで、実際の分担や役割が何も変わらない場合は、伝え方だけの問題ではないかもしれません。
業務分担や安全、職場全体の運用に関わり、個人同士では調整できない場合は、管理者が介入すべき問題かを分けて考える必要があります。
すでに相談しているのに、説明や調整が行われない状態が続いているなら、次は「自分の伝え方」だけを繰り返し直す段階ではありません。
その場合は、介護職が上司に相談しても変わらないときの判断基準で、相談後の職場の反応を確認してみてください。
さらに、負担の偏りが長く続き、残る・異動する・転職するまで考え始めている場合は、介護職の異動と転職、どちらを選ぶ?変えたいものから考える判断基準で、何を変えたいのかから整理できます。
「自分ばかり」という感覚を、相談できる事実へ変える
「自分ばかり仕事をしている」と感じても、ほかの職員の仕事をすべて把握することはできません。
だから、その感覚だけで誰かを評価する必要はありません。
一方で、
同じフォローを繰り返している。
自分の担当外までいつの間にか担っている。
自分の仕事や休憩、安全に影響が出ている。
それでも役割や優先順位が曖昧なままになっている。
そうした状態まで「自分が気にし過ぎなのかもしれない」で終わらせる必要もありません。
まずは、
本来の担当と、追加で行っている仕事を分ける。
そこから、いつ・何が・どの程度続いているのかを残してみてください。
誰が悪いかを決めるより先に、今の仕事の配分がどうなっているのかを確認できる状態を作る。
それが、負担の偏りについて相談するときの最初の一歩になります。
相談前の事実をどう残せばよいか迷う場合は、次の記事で、日時・起きたこと・仕事への影響などを、相談に使える事実メモへ整理する方法を確認できます。

