介護の仕事が頭から離れないとき|一人反省会を終える整理手順
仕事が終わって家に帰ったのに、頭の中ではまだ勤務が続いている。
「あの対応でよかったのだろうか」
「先輩に言われたことは、自分が悪かったということなのか」
「明日また何か言われるのではないか」
介護の仕事をしていると、ミスや抜けだけでなく、先輩からの指摘や利用者への対応、翌日の仕事まで、帰宅後に何度も思い返してしまうことがあります。私自身も、そうしたことが頭から離れず、気持ちが落ち込むことがありました。
「考えないようにすればいい」と言われても、簡単に切り替えられるとは限りません。引っかかる内容も、気持ちを切り替えるまでに必要な時間も、人によって違います。
この記事で目指すのは、気持ちを無理に消すことではありません。頭の中で続いている一人反省会を、「今夜考える必要があること」と「明日に回してよいこと」に分けていきます。
気持ちが完全に晴れなくても、「今日はここまで」と区切りをつけられれば、それだけでも仕事から離れて休むための一歩になります。
考え続けることと、必要な確認は同じではない
帰宅後も仕事について考えてしまう背景には、責任感があることもあります。利用者への対応に問題がなかったか、自分のミスで誰かに迷惑をかけていないか、明日確認しておいた方がよいことはないか。
介護では安全に関わる仕事もあるため、気になることをすべて「考えすぎ」と片づけることはできません。
一方で、必要な確認をすることと、答えが出ないまま同じ場面を何度も思い返すことは別です。
例えば、「記録をきちんと残したか自信がない」のであれば、翌日記録を確認するという行動につなげられる場合があります。
一方、「先輩は自分のことを仕事ができないと思っただろうか」「もっと完璧に対応できたのではないか」という問いは、その日の夜に一人で考え続けても答えが出ないことがあります。
ここで大切なのは、「考えてはいけない」と無理に止めることではありません。
この考えは、今夜答えを出せるものなのか。
まず、そこを分けます。
帰宅後の考えを「事実・明日・今夜は扱わない」に分ける
仕事のことが頭から離れないときは、全部を一つの悩みとして考えず、三つに分けます。
1.まず「事実」だけを書く
最初に、自分の評価や想像をできるだけ外して、起きたことだけを短く整理します。
例えば、
- 先輩から介助方法について指摘された
- 記録を入力したか自信がない
- 利用者への声かけに迷った
- 明日、初めて担当する業務がある
ここでは、「自分は仕事ができない」「きっと怒られている」「また失敗するかもしれない」といった評価や予想はいったん分けます。
事実と不安が混ざったままだと、考える範囲がどんどん広がりやすくなります。
まず確認するのは、実際に起きたことは何か。
そこだけです。
2.次に「翌日確認すること」を決める
事実を整理したら、翌日に確認すれば進められることを分けます。
例えば、
- 記録が残っているか確認する
- 分からなかった介助方法を確認する
- リーダーや先輩へ一度相談する
- 利用者への対応について、次回どうするか確認する
一人で考えても判断できないことを、すべて自分の頭の中だけで解決する必要はありません。誰かに相談できる内容であれば、私も相談することはありました。
ただし、翌日の課題を何個も作ると、それ自体が新しい不安になることがあります。
そこで、「明日、最初に確認することは何か」を一つ決めます。
例えば、「明日出勤したら、まず記録を確認する」。
これだけで構いません。
答えを今夜出すのではなく、答えを確認する場所を明日に移すイメージです。
3.今夜答えが出ないものは「今夜は扱わない」に置く
残ったものの中には、その日の夜に考えても答えが出ないことがあります。
例えば、
- 先輩にどう思われたか
- あの対応が100点だったか
- 明日注意されるかもしれない
- 自分は介護職に向いているのか
- あの場面でもっと違うことができたのではないか
こうしたことまで、その日のうちに結論を出そうとすると、一人反省会が長くなります。
「気にしない」と思えなくても構いません。紙やメモに、今夜は扱わないと分けておきます。
私物のスマートフォンなどを使う場合は、利用者名や具体的な記録内容など、個人を特定できる情報は書かないようにします。
「今夜は扱わない」は、「どうでもいいことにする」という意味ではありません。
今夜答えが出ないことを、今夜の仕事から外すということです。
翌日の確認を一つ残したら、考える作業を終える
三つに分けたあとも、すぐに気持ちが軽くなるとは限りません。
人によって感じ方は違いますし、「この方法をやれば必ず気にならなくなる」とも言えません。
だから、ここで目指すのは気分を完全に変えることではなく、考える作業の終了地点を作ることです。
やることは三つです。
- 明日確認することを一つ決める
- それを短くメモする
- メモを閉じる
ここまでを、その日の一区切りにします。
そのあと仕事のことが頭に浮かんできても、「それは明日確認することに入れた」「これは今夜答えが出ないものだった」と、先ほど分けた場所へ戻します。
また最初から一人反省会をやり直さなくてもいい状態を作るためです。
考えが浮かばなくなることを成功条件にしてしまうと、「また考えてしまった」と、さらに自分を責める材料になることがあります。
そうではなく、必要な確認先を決めたか、今夜考えても答えが出ないものを分けたか。
そこまでできれば、その日の整理はいったん終わりです。
ミスや指摘そのものが強く引っかかっている場合は、別の整理が必要になる
一人反省会の中身によっては、この三つに分けるだけでは十分ではない場合もあります。
例えば、「自分のミスで何か起きているのではないか」という不安が強いなら、安全確認や報告が必要かどうかを別に整理する必要があります。
ミスや見落としが気になり、「今すぐ確認すべきか、明日でいいのか」と不安になっている場合は、「介護のミスを引きずるとき|帰宅後の不安を『今確認』と『翌日確認』に分ける方法」で、必要な確認と夜の不安を分ける手順を整理しています。
「注意された=自分自身を否定された」と感じてしまう場合は、「介護職で注意されると落ち込むとき|『直すこと』と『自分はダメ』を分ける方法」で、仕事上の指摘と自分自身への評価を分ける方法を整理しています。
また、「どこまでが自分の責任なのか分からない」ことが原因で考え続けているなら、起きた事実と自分が負う範囲を分けて考える必要があります。
責任をすべて自分一人で背負ってしまう場合は、「介護のミスを自分だけの責任にされたとき|事実と体制を分ける整理法」で、自分の対応・連携・体制を分けて整理しています。
今日やることは、三つに分けるだけでいい
帰宅後に仕事のことが頭から離れないとき、無理に前向きになろうとしなくても構いません。
まず、今考えていることを、
- 事実
- 翌日確認すること
- 今夜は扱わないこと
の三つに分けます。
そして、翌日確認することを一つだけ決めたら、メモを閉じます。
気持ちまで完全に切り替わらなくても、「これは明日確認する」「これは今夜考えても答えが出ない」と分けられれば、同じ場面を何度も最初から考え直す必要は少なくなります。
考えないことを目指すのではなく、どこまで考えたら今日は終わりにするかを決める。
仕事を家まで持ち帰り続けないために、まずは今夜、頭の中にあることを三つに分けるところから始めてみてください。
