介護職で不機嫌な先輩に振り回されるとき|「機嫌がルール」になる職場で必要な確認を止めない方法
先輩の返事が、いつもより短い。
表情も少し険しい。
利用者さんのことで確認したいことがあるのに、
「私が何かしたのかな」
「今は話しかけない方がいいかもしれない」
と考えて、声をかけるのをためらってしまう。
介護現場では、相手の機嫌を完全に無視して働くことは難しいと思います。周囲の様子を見ながら動くことが必要な場面もあります。
ただ、相手の機嫌を直すことまで、自分の仕事にする必要はありません。
自分に報告不足や修正すべき点があるなら、それは確認する。
そのうえで、必要な報告・質問・確認は、相手の機嫌とは分けて考えます。
この記事では、不機嫌そうな先輩を見て必要以上に顔色をうかがってしまうとき、何を自分の仕事として考えればいいのかを整理します。
先輩が不機嫌そうでも、すぐ「自分が原因」とは決めない
相手の様子がいつもと違うと、自分に原因を探したくなることがあります。
たとえば、
- 返事が短い
- 表情が険しい
- 口数が少ない
- ため息が多い
- いつもより声の調子が低い
といった変化です。
こうした様子を見て、
「怒っている」
「私に怒っている」
「私が何か間違えた」
と、考えがどんどん先へ進んでしまうこともあるかもしれません。
ただ、相手の返事が短かったことは確認できても、なぜそうなのかまでは分からないことがあります。
まず分けたいのは、次の3つです。
| 分けるもの | 確認すること |
|---|---|
| 実際に見聞きしたこと | 返事が短い、表情が険しいなど |
| 自分への具体的な指摘 | 報告不足やミスなど、実際に何か言われているか |
| 今必要な業務 | 報告・質問・確認をする必要があるか |
具体的な指摘があれば、内容を確認します。
自分に直すところがあるなら直せばいい。
一方で、何も言われていない段階から「自分が原因だ」と決めてしまうと、本来必要な行動まで変わってしまうことがあります。
私自身も以前は、周囲の機嫌が悪そうだと「自分が何かしたのではないか」と考えやすく、話しかけるタイミングまで相手の様子を見ていました。
今でも人の機嫌がまったく気にならないわけではありません。
ただ、気になったときに、すぐ「自分が悪い」まで進めず、まず確認できていることへ戻るようになりました。
「機嫌がルール」になると、仕事の判断まで顔色で変わる
この記事でいう「機嫌がルール」とは、本来は業務上の必要性で決めることまで、相手の気分を見ながら決めるようになっている状態です。
たとえば、本来なら、
「利用者さんの状態に変化があるから報告する」
「分からないことがあるから確認する」
と判断する場面でも、
「今日は機嫌が悪そうだから、あとにしよう」
「これを聞いたら怒られるかもしれない」
と、相手の顔色が先に来る。
こうした状態が続くと、少しずつ仕事の判断基準が変わっていきます。
- 必要な質問を後回しにする
- 報告の前に相手の表情を確認する
- 機嫌がよさそうなときだけ相談する
- 相手を怒らせないことを優先して動く
- 不機嫌になると、自分が何とかしなければと考える
周囲の様子に気づくこと自体が悪いわけではありません。
忙しそうな人へ声をかけるタイミングを考えたり、介助中なら少し待ったりするのは、仕事上の配慮です。
ただし、業務上のタイミングを考えることと、相手の機嫌をよくしてからでなければ動けないことは別です。
相手の機嫌ではなく「今の自分に必要な業務」へ戻る
先輩の機嫌が気になったときは、「気にしないようにしよう」と考えるより、今の自分が何をする必要があるかへ戻した方が整理しやすくなります。
私は次の3つに分けて考える方法が使いやすいと思っています。
1.自分への具体的な指摘はあったか
まず確認するのは、実際に自分へ何か言われているかです。
「報告が遅かった」
「この記録が抜けていた」
「この対応は違う」
など、具体的な指摘があるなら、その内容を確認します。
必要な修正点があるなら直します。
一方で、
「返事が短かった」
「なんとなく怒っていそうだった」
だけなら、その時点で分かっているのは「相手が不機嫌そうに見える」というところまでです。
まだ分からない部分を、自分の責任として先に引き取る必要はありません。
2.今、仕事として確認・報告する必要があるか
次に見るのは、自分の仕事です。
たとえば、
- 利用者さんの状態変化
- 事故やヒヤリにつながる可能性があること
- 次の職員へ伝える必要がある情報
- 自分だけでは判断できないこと
- ケアを進める前に確認が必要なこと
であれば、相手の機嫌とは別に考える必要があります。
緊急性が低く、相手が別の介助をしているならタイミングをずらすことはできます。
しかし、
「怒られそうだから」
「今日は機嫌が悪いから」
という理由だけで必要な確認そのものをやめてしまうと、別の問題が生まれます。
3.必要なことを済ませたあと、何が残っているか
必要な報告をした。
確認もした。
自分に修正すべきところがあれば直した。
それでも相手が不機嫌そうなことはあります。
そこで、
「まだ怒っているかもしれない」
「機嫌を直さなければ」
と考え続けると、相手の感情まで自分の仕事に入ってきます。
仕事として必要なことを済ませたのであれば、そこから先の相手の機嫌まで、自分だけで何とかする必要はありません。
必要な質問・報告は、機嫌を直そうとせず短く行う
相手が不機嫌そうなときほど、声をかける前にいろいろ考えてしまうことがあります。
ただ、仕事として必要な内容なら、相手の機嫌について確認するより、用件を短く伝えた方が動きやすくなります。
たとえば、
「○○さんの昼食量について確認があります」
「先ほどの対応ですが、○○という理解で合っていますか」
「△△さん、いつもよりふらつきがあるため共有します」
くらいでも構いません。
大切なのは、
「怒っていますか」
「何か私しましたか」
と相手の機嫌を確認してから仕事を始めるのではなく、必要な用件へ戻ることです。
もちろん、相手が利用者対応中だったり、別の緊急対応をしていたりするなら、状況を見て声をかけます。
これは機嫌を取るためではなく、業務を安全に進めるためのタイミング調整です。
相手の状態へ一切配慮しないことと、機嫌に振り回されないことは同じではありません。
やり方まで相手の機嫌で変わるなら、それは別の問題
ここまでは、「不機嫌そうな相手を見て、自分の行動まで止めてしまう」場面を扱ってきました。
一方で、
- 昨日は何も言われなかったやり方を今日は怒られる
- 同じことをしても、相手の気分によって注意される内容が違う
- その先輩と勤務するときだけやり方を変えている
- 結局、何を正解として動けばいいのか分からない
という状態なら、機嫌をどう受け止めるかだけでは整理できません。
ここからは、「職場では何を基準として働くのか」という別の問題です。
その先輩個人のやり方なのか、職場で共有されたルールなのか分からなくなっている場合は、「介護現場で『普通はこうする』と言われたとき|相手ルールと共有された基準を分ける方法」で、何を基準に確認すればよいかを整理しています。
「相手の機嫌を背負わないこと」と「何を仕事の基準にするか」は、分けて考えた方が整理しやすくなります。
質問や報告まで止まるなら、「気にしすぎ」だけで終わらせない
人の機嫌が気になること自体は珍しいことではありません。
しかし、その影響で、
- 必要な報告を何度もためらう
- 利用者さんの状態変化を相談しにくい
- 分からないことを確認できない
- 職員全体が一人の機嫌を見ながら動いている
- 不機嫌になると情報共有が止まる
という状態になっているなら、「自分がもう少し気にしなければいい」だけでは終わらせにくくなります。
介護は、申し送りや報告、確認をしながら複数の職員で利用者さんを支える仕事です。
一人の機嫌によって必要な情報までつながりにくくなっているなら、個人の受け止め方だけではなく、職場の連携として考える必要があります。
必要な報告や確認がしづらい状態が続く場合は、リーダーや主任、管理者など、状況を確認できる人へ共有することも選択肢です。
また、人格を否定する言葉、継続的な無視、強い威圧などがある場合は、単に「機嫌の悪い人」として小さく扱わない方がいいでしょう。
反応を必要以上に大きくしないことと、問題を放置することは別です。
相手の機嫌まで、自分の仕事にしなくていい
先輩が不機嫌そうだと、気になることはあると思います。
大切なのは、「気にならない人になること」ではありません。
気になったあとに、何を自分の仕事として扱うかを分けることです。
次に相手の機嫌が気になったら、
- 自分への具体的な指摘はあったか
- 今、仕事として報告・質問・確認する必要はあるか
- 必要なことを済ませたあとまで、相手の機嫌を背負っていないか
と確認してみてください。
まずは「今、仕事として確認することはあるか」へ戻ることが、機嫌に振り回され過ぎないための一歩になります。
