職場改善・相談の進め方

介護職が上司に相談しても変わらないときの判断基準

介護職が上司に相談しても変わらないときに再相談・別の上司・次の判断を整理するイメージ
なやま

上司に相談した。

話は聞いてくれた。相手にも注意してくれた。

それなのに、しばらくすると同じことが起きる。

そんな状態が続くと、

「もう一度相談したほうがいいのか」
「もっと上の人に言うべきなのか」
「結局、この職場では何も変わらないのか」

と迷うと思います。

勇気を出して相談したからこそ、何も変わらないと「自分の伝え方が悪かったのかな」と考えてしまうこともあります。

ただ、相談後を見るときに大切なのは、上司が何と返事をしたかだけではありません。

見るのは、そのあと職場が実際にどう動いたかです。

一度で問題が完全になくなったかではなく、改善する方向へ動いているかを見る。

そのうえで、

  • もう一度相談する
  • 別の上司へ相談する
  • 同じ相談を繰り返す段階から離れる

のどこへ進むかを考えていきます。

この記事のポイント
  • 相談後は、返事だけでなく職場に具体的な動きがあったかを見る
  • 状況に応じて、再相談・別の相談先・次の判断のどこへ進むか考える
  • 改善しなかったことを、すべて自分の相談方法のせいにしない

「また起きたか」より「また起きたあとにどう動いたか」を見る

上司から、

「分かりました」
「本人に伝えておきます」
「様子を見ましょう」

と言われれば、その場では対応してもらえたように感じます。

ただ、本当に見たいのはその後です。

たとえば、

  • 必要な事実確認が行われた
  • 必要なルールや方針が整理された
  • 同じ問題が以前より減った
  • 再発したときにも上司が対応している
  • 上司がその後の状況を確認している
  • 必要に応じて、安全確保や再発防止が考えられている
  • チームの中に「この問題を減らしていこう」という動きがある

こうした変化が出ているなら、問題が完全になくなっていなくても、改善の途中と考えられます。

何度も同じ行動を繰り返してきた人が、一度注意されたからといって完全に変わるとは限りません。

職場に長く根付いているやり方や風土も、一度の話し合いだけで変わるとは限りません。

ただ、変化に時間がかかることと、問題を受けている側が我慢し続けることは別です。

だから私は、

「また同じことが起きたか」だけではなく、「また起きたあとに職場がどう動いたか」

を見るほうが現実的だと思っています。

私自身も、特に見ていたのは上司が能動的に動いてくれているかでした。

こちらも何となく不満を言っているわけではありません。

勇気を出し、どうすれば改善できるかを考えたうえで相談しています。

だからこそ、相談を受けた上司にも「この問題を少しでも良くしよう」という動きが見えるかどうかは、大きな判断材料になります。

逆に、以前相談した問題がまた起きていて、上司も状況を把握しているのに何も動かない。

毎回その場だけの注意で終わり、その後を確認しない。

そうした状態が続けば、

「結局、相談しても変わらないのでは」

と考えるようになります。

なお、ハラスメントにあたる可能性がある問題では、相談後の職場の対応について公的な基準もあります。

厚生労働省は事業主に対して、相談窓口を設けるだけでなく、相談があった場合には事実関係を迅速かつ正確に確認し、必要な対応や再発防止につなげることを求めています。

すべての人間関係の問題に同じ対応が必要という意味ではありませんが、「話を聞いてくれたか」だけでなく、その後に職場がどう動いたかを見る一つの判断材料になります。

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」

相談を受けたという事実ではなく、改善へ向けた動きが続いているか。

まずはここを見てみてください。

次は「再相談・別の上司・環境を変える」のどこへ進むか

相談後の状態を見ると、次の一手は大きく3つに分けられます。

相談後の状態次に考えること
改善する動きがあり、少しでも変化しているもう一度相談する・経過を見る
問題は続いているが、直属の上司で止まっている別の上司・責任者へ相談する
改善する動き自体がなく、同じ問題が積み重なっている同じ相談を繰り返す段階から離れる

「何回相談したら次へ進む」という回数で決めるのではなく、相談後に何が起きているかで判断します。

改善する動きがあるなら、もう一度相談する余地がある

相談後に上司が動いていて、一部でも変化が出ているのであれば、もう一度状況を伝えたり、経過を確認したりする余地があります。

たとえば、

「前回相談したあと少し良くなったのですが、最近また同じことがありました」

と、前回から何が変わったのかを伝えるだけでも状況は共有できます。

また、問題によって相談するタイミングは違います。

チーム全体で方針をそろえたほうがよい内容なら、定例のミーティングなどで整理できることもあります。

一方で、

  • 利用者の安全に関わる
  • 放置すると影響が広がりそう
  • 早めに対応したほうがよい

という問題なら、次のミーティングまで待たず、その時点で相談したほうがよい場面もあります。

ここで見るのは、**「まだこの上司と改善を続けられそうか」**です。

上司が問題を理解し、実際に動いているのであれば、再相談する意味はあります。

直属の上司で止まっているなら、別の相談先を考える

何度伝えても直属の上司のところで止まっている場合は、別の上司や責任者へ相談する方法もあります。

ただし、単純に「一番役職が上の人へ行けばいい」とは限りません。

私なら、

  • 信頼できるか
  • 現場の状況をある程度理解できるか
  • 問題を理解してもらえそうか
  • 実際に判断や調整ができる立場か

を見ます。

現場の問題では、現場を知っている人のほうが状況を共有しやすいことがあります。

一方で、直属の上司に問題を動かす権限がない、あるいはそこで話が止まっているのであれば、実際に判断や調整ができる責任者・上位者へ上げる意味があります。

大切なのは、「現場を分かってくれそうな人」だけでも、「役職が高い人」だけでもなく、状況を理解したうえで実際に動ける相談先を選ぶことです。

直属の上司だけにこだわらず、次に動かせる人がいるなら、そこへ相談する。

これも次の一手の一つです。

改善する動き自体が見えないなら、同じ相談を繰り返す段階から離れる

考えたいのは、相談したあとも改善する動き自体が見えない場合です。

たとえば、

  • 同じ問題が何度も繰り返される
  • 上司が問題を知っていても動かない
  • 毎回その場だけの対応で終わる
  • 職場全体が「仕方ない」で済ませている
  • 根付いている問題を変えようとする動きがない

こうした状態が続いている場合です。

ただし、「一つ当てはまったら辞める」という話ではありません。

私自身も、一つの出来事だけで見切りをつけてきたわけではありません。

いくつもの問題が積み重なり、

「この状態をこれ以上受け入れ続けるのは難しい」

という自分のラインを越えたところで、見切りをつけることが多かったです。

だから、

「3回相談したから、もうこの職場はダメ」

と回数だけで決める必要はありません。

見るのは、

改善しない状態がどれだけ積み重なっているか。

そして、

その状態を自分がこれからも許容できるか。

です。

ここまで来たら、「どうすれば同じ上司に分かってもらえるか」だけを考え続けるのではなく、次の選択肢を考える段階に入っています。

自分の正しさや相談の仕方を証明し続けることだけが、自分を守る方法ではありません。

変わる動きが乏しいなら、「この相手や職場をどう変えるか」だけではなく、自分が次にどこへ進むかへ考える対象を移してよいと思います。

改善しないことを、全部「自分の相談の仕方」のせいにしなくていい

相談しても変わらないと、

「自分の言い方が悪かったのかな」
「もっと上手に説明できれば変わったのかな」

と考えることがあります。

もちろん、

  • 起きた事実を伝えられていたか
  • 何に困っているのか伝わっていたか
  • 何を改善してほしいのか整理できていたか

を振り返ることには意味があります。

修正できる部分があれば、次に相談するときに変えればいいと思います。

ただ、職場が改善しない理由をすべて自分の相談方法に結びつける必要はありません。

相談を受けた側にも、その後できることがあります。

  1. 状況を確認する。
  2. 必要なら関係者へ伝える。
  3. ルールや方針を整理する。
  4. 必要な対応を考える。
  5. その後どうなったかを見る。

改善には、相談した側だけではなく、職場側の動きも必要です。

自分の伝え方に修正できるところがあれば直す。

でも、相談後に何も動かなかったことまで、自分一人の責任にはしない。

この二つは分けて考えてよいと思います。

同じ相談を続ける段階を終えたら、次の判断へ進む

改善する動きが乏しく、「もう同じ相談を繰り返す段階ではない」と感じたら、次は別の問題を整理します。

たとえば、

「そもそも、これは個人間で調整する問題なのか、管理者が介入すべき問題なのか」

そもそも管理者が入るべき問題だったのかを改めて整理したい場合は、「介護現場で管理者が介入すべき人間関係の問題|相性との境界線」で、個人間の相性と職場として扱うべき問題の境界を整理しています。

「介護の仕事そのものが嫌なのか、それとも今の職場がつらいのか」

介護そのものがつらいのか、今の職場だからつらいのかを整理したい場合は、「介護職を辞めたいとき|『介護が無理』か『今の職場が無理』かを見分ける方法」で切り分け方を整理しています。

「職場を変えるなら、異動なのか転職なのか」

といった判断です。

異動と転職のどちらが自分の目的に合うか迷う場合は、「介護職の異動と転職、どちらを選ぶ?変えたいものから考える判断基準」で、何を変えたいかから判断する方法を整理しています。

今決めるのは「次の一手」だけでいい

上司に相談しても変わらないとき、まず確認したいのは一つです。

今の職場に、この問題を減らそうとする具体的な動きがあるか。

動いているのであれば、もう一度相談したり、少し経過を見たりする。

直属の上司で止まっているのであれば、状況を理解し、実際に判断や調整ができる別の責任者・上位者へ相談する。

改善する動きそのものがなく、同じ問題が積み重なっているのであれば、同じ相談を繰り返す段階から一つ先へ進む。

今日すぐに「この職場に残るか、辞めるか」まで決める必要はありません。

まずは、自分が今どの段階にいるのか考えてみてください。

  • 自分は今、もう一度相談する段階なのか
  • 相談先を変える段階なのか
  • それとも、同じ相談を繰り返す段階から離れるのか

次の一手を一つだけ決めてみてください。

著者プロフィール
なやま
なやま
介護職約10年|介護福祉士|心理資格3種|複数回の転職を経験 介護現場の人間関係・職場の理不尽・自責や「辞めたい」を、実体験と心理の両面から整理。 自分だけの問題だと抱え込まず、残る・相談する・異動する・転職するなど、次の行動を選ぶための判断材料を発信しています。

介護の仕事で感じたことや、私自身の経験・考え方はnoteでも書いています。

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