介護職が人間関係の相談前に残したい記録|事実メモの書き方
職場の人間関係について、
「一度、上司に相談したほうがいいかもしれない」
と思っても、いざ話そうとすると迷うことがあります。
「こんなことで相談していいのかな」
「感情的な話だと思われないかな」
「どこまで話せばいいんだろう」
「そもそも、自分は何をしてほしいんだろう」
私自身も、人間関係について相談するときに、何をしてほしいのか整理できなかったり、どこまで伝えるべきか迷ったりしたことがありました。
「言ったところで解決に進むのかな」と考えたこともあります。
私は、相談前に毎回きちんとメモを取っていたわけではありません。
ただ、振り返ってみると、緊張して落ち着いて話せないときや、出来事がいくつも重なっているときほど、先に少し整理しておく意味はあると思います。
大切なのは、きれいな文章を作ることではありません。
この記事では、人間関係について職場へ相談する前に、自分の中にある出来事を第三者へ伝えやすい形にするための、事実メモの残し方を整理します。
相談前のメモは「出来事・自分への影響・相談したいこと」に分ける
人間関係でつらいことが続くと、いろいろなものが頭の中で一緒になりやすくなります。
「あの言い方が嫌だった」
「また何か言われそうで怖い」
「自分だけ嫌われている気がする」
「もう一緒に働きたくない」
どれも、そのとき自分の中にあるものです。
だからといって、気持ちを消す必要はありません。
ただ、相談相手に状況を分かってもらうには、全部を一度に話すより、
- 出来事
- 自分への影響・受け取り
- 相談したいこと
に分けたほうが整理しやすくなります。
たとえば、
出来事
「申し送りのあと、『そんなことも分からないの?』と言われた」
自分への影響・受け取り
「強く責められたように感じた。その後、その人へ質問するのが怖くなった」
相談したいこと
「必要な質問や確認がしづらくなっているので、どうすれば仕事上のやり取りをしやすくできるか相談したい」
という形です。
相談するときの文章を完成させるのではなく、まず材料を分けるイメージで十分です。
「出来事」には、実際に見たこと・聞いたことを書く
最初に整理したいのが、実際に何があったのかです。
書ける範囲で、次のようなことを残します。
- いつ起きたか
- どこで起きたか
- 誰とのやり取りだったか
- 実際に何と言われたか
- 実際にどんな行動があったか
- 自分はその場でどう対応したか
- その直前・直後に何があったか
- 周囲に誰がいたか
たとえば、
「先輩の言い方がいつもきつい」
だけでも困っていることは伝わります。
ただ、相談相手からすると、どんな場面で何が起きたのかまでは分かりません。
そこで、
「○月○日の申し送り後、確認のために質問したところ、『そんなことも分からないの?』と言われた」
というところまで整理すると、起きた出来事が見えやすくなります。
覚えている範囲で、自分が実際に見聞きしたことと、記憶が曖昧なところを混ぜないことが大切です。
和歌山労働局のパワーハラスメント相談に関する案内でも、記録を整理する際には、日時・場所・具体的な言動・周囲の状況など、客観的な事実をできる限り正確に整理する考え方が示されています。
これはパワーハラスメントについての案内ですが、この記事では、その中にある「第三者が出来事を追えるように分けて整理する」という考え方を、職場の人間関係について相談する前のメモにも参考にしています。
相手の性格や意図まで事実にしなくていい
ここで分けたいのが、
実際に起きたことと、相手がなぜそうしたのかという推測です。
たとえば、
「私のことが嫌いだから、わざと強く言ってきた」
と書くと、「嫌いだから」「わざと」という部分は、相手の内心まで確認しないと分かりません。
一方で、
「『そんなことも分からないの?』と言われた」
なら、自分が実際に聞いた出来事として残せます。
相手がどんな人なのかまで、自分で結論づけなくてもいいと思います。
まずは、何を言われたのか、何をされたのか。
そこから始めたほうが、相談相手も状況を見やすくなります。
「嫌われていると感じた」も消さなくていい
では、
「嫌われていると感じた」
「わざとやっているように感じた」
という気持ちは書いてはいけないのでしょうか。
私は、そうは思いません。
そう感じたこと自体も、自分に起きた影響や受け取りとして残していいと思います。
ただし、
「嫌われている」
と事実として書くことと、
「私は嫌われているように感じた」
と自分の受け取りとして書くことは分けられます。
同じように、
「わざと困らせている」
と断定するのではなく、
「何度か同じことがあり、私はわざとされているように感じた」
とすれば、自分がどう受け取ったのかを残せます。
気持ちや違和感をなかったことにする必要はありません。
怖かった。
腹が立った。
次から質問しづらくなった。
その人がいると必要以上に緊張するようになった。
こうしたことも、自分に起きた影響です。
和歌山労働局の案内でも、出来事そのものだけでなく、業務をするうえで生じた不利益と精神的な負担を分けて整理する考え方が示されています。
感情を消すのではなく、事実とは置き場所を分ける。
そのくらいで考えてみてください。
「何をしてほしいか」が分からなくても、困っていることから書けばいい
相談前に意外と難しいのが、
「それで、どうしてほしいの?」
という部分です。
私自身も、何をしてほしいのか自分でも整理できていないことがありました。
ただ、
自分で解決策を全部決めてから相談する必要はない
と思っています。
まずは、
「今、何に困っているのか」
「どうなれば少し働きやすくなるのか」
を考えてみます。
たとえば、
「強い言い方をされること自体が嫌です」
だけでなく、
「強い言い方が続いて、その人に必要な質問をすることまでためらうようになっています」
と整理すると、自分が何に困っているのかが少し見えてきます。
そのうえで、
「必要な質問や報告ができる状態にしたい」
のように、どうなれば助かるかを書いてみます。
自分なりに考えられる解決方法があるなら、それもメモしてかまいません。
ただ、その案が実際の職場でできるかどうかまでは、自分一人では分からないこともあります。
そんなときは、
「私はこうなれば助かると思っています。難しければ、現実的にできる方法がないか相談したい」
くらいでも十分です。
相談前の段階で、正解を作ることが目的ではありません。
自分が困っていることと、少しでも変わってほしいことを、自分で確認できる状態にする。
そこまでできれば、メモとして役割を果たしています。
メモは完璧に残さなくていい
ここまで読むと、
「毎回、日時も言葉も全部記録しないといけないのかな」
と思う人もいるかもしれません。
でも、私はそこまで義務のように考えなくていいと思います。
つらいことがあった直後に、毎回きれいに記録できるとは限りません。
心に余裕がないときまで、メモを取ることで自分を追い込む必要はありません。
一度にすべてを整理しきろうとしなくてもかまいません。
余裕があるときに、
「今日、こういうことがあった」
と一件だけ残す。
相談すると決めていなくても、頭の中を整理するために書く。
同じようなことがもう一度起きたときに、
「前にもあったな」
と振り返るために残す。
それでも意味はあります。
特に、緊張すると話したかったことが飛んでしまう人や、出来事がいくつも重なって何から話せばいいか分からなくなる人は、相談前に短いメモがあるだけでも話しやすくなります。
大事なのは、完璧な記録を作ることではなく、
自分の中で起きたことを一度整理すること
です。
全部を書く余裕がなければ、まずは次の3つだけでもかまいません。
1.何があった?
「○○と言われた」「○○された」
余裕があれば、いつ・どこで・誰から・そのとき自分がどう対応したかも加えます。
2.それで自分はどう困っている?
「質問しづらくなった」「怖くなった」「嫌われているように感じた」
3.どうなれば少し助かる?
「必要な確認ができるようにしたい」「今後どう対応すればいいか相談したい」
まず直近の一件を、この3つに分けてみる。
それが、相談前にできる最初の整理です。
メモを整理したあとは、今いる段階に合わせて次へ進む
この記事で扱うのは、相談する前に出来事を整理するところまでです。
メモを作ったあと、
「では、誰に相談すればいいのか」
「どんな順番で話せばいいのか」
と迷ったら、介護職の人間関係を相談するときの相手・伝え方・順番で整理しています。
一方で、すでに相談しているのに、
「話は聞いてもらったけれど何も変わらない」
という段階なら、問題は相談前のメモではなく、その後の職場の対応を見る段階へ変わっています。
その場合は、介護職が上司に相談しても変わらないときの判断基準を参考にしてください。
相談前から、全部の答えを出す必要はありません。
心に少し余裕があるなら、まずは直近の一件だけ。
「出来事」「自分への影響」「相談したいこと」
の3つに分けて書いてみてください。
誰かに話すかどうかを決める前でも、自分の中で何が起きているのかを整理するところから始めてかまいません。
