職場改善・相談の進め方

介護現場で管理者が介入すべき人間関係の問題|相性との境界線

介護現場の人間関係で相性の範囲と管理者が介入すべき問題の境界を整理するイメージ
なやま

介護の仕事をしていると、

「どうしてもこの人とは合わない」

と感じる相手がいることがあります。

話し方が苦手だったり、仕事の進め方が違ったり、考え方が合わなかったり。

それだけなら、

「人間関係のことを管理者に相談するほどなのかな」
「自分たちで何とかするべきなのかな」

と迷うかもしれません。

たしかに、職員同士の相性まで、すべて管理者に解決してもらうのは難しいと思います。

ただ、人間関係が原因で必要な申し送りがされない、連携できずにトラブルが起きる、誰かが体調を崩すところまで来ているなら、話は変わります。

見るべきなのは「仲が良いか悪いか」ではなく、その関係から仕事や人に何が起きているかです。

この記事では、介護現場の人間関係について、個人間の相性として距離を取りながら働ける範囲と、管理者が介入すべき業務上の問題との境界を整理します。

この記事のポイント
  • 相性かどうかではなく、その関係から仕事や人に何が起きているかを見る
  • 必要な会話・確認・連携が保たれているなら、距離を取りながら働ける場合もある
  • 情報共有・業務・安全・健康に影響が出ているなら、個人間だけで抱えず管理者の介入を考える

合わない人がいても、最低限の仕事ができているなら相性の範囲に留まることもある

介護現場には、いろいろな人が働いています。

経験年数も違えば、考え方も違います。

「話しやすい人」と「できればあまり関わりたくない人」がいるのも、不自然なことではありません。

私自身、相性が合わないと感じる人はいました。

それでも、

  • 必要な会話ができる
  • 申し送りや確認ができる
  • 必要な場面では協力できる
  • 相手との関係が原因で仕事が止まっていない

のであれば、「合わないけれど仕事はできる」という状態ではあります。

無理に仲良くなる必要まではありません。

介護の仕事で必要なのは、職員同士が友人のような関係になることではなく、利用者さんのケアに必要な連携ができることだからです。

そのため、

「あの人が苦手」という気持ちだけで、すぐに管理者が介入すべき問題になるわけではありません。

一つの目安になるのは、相手と仲良くできるかではなく、最低限必要な仕事上の関わりが保たれているかです。

相性を超えたかどうかは「そこから何が起きているか」で見る

問題なのは、人間関係の悪さから、別の問題が起き始めている場合です。

私自身が経験したことも、周囲で見たこともありますが、人間関係が悪くなることで、必要な情報共有や協力が難しくなり、実際の業務トラブルにまでつながることがあります。

ここまで来ると、「二人の相性が悪いだけ」で終わらせるのは難しくなります。

相性の範囲だけでは扱いにくくなっているサインとして、次のような状態があります。

複数の職員が同じ問題を感じている

一人と一人だけの関係ではなく、複数の職員が同じことで困っている。

これは、単純な相性だけでは説明しにくくなっているサインの一つです。

ただし、複数人が困っていなければ問題ではない、という意味ではありません。

一人しか訴えていなくても、起きていること自体が重大なら、人数で判断する話ではありません。

必要な連携や情報共有ができなくなっている

たとえば、

「話したくないから申し送らない」
「関係が悪いから確認しない」
「必要な協力を頼めない」

という状態です。

介護では、一人だけで仕事が完結する場面ばかりではありません。

職員同士の関係が原因で必要な情報や連携が途切れているなら、それはもう「気が合わない」という感情だけの問題ではなくなっています。

実際に業務上のトラブルが起きている

さらに分かりやすいのが、人間関係をきっかけに実際のトラブルが起きている場合です。

情報が伝わらなかった。

必要な確認がされなかった。

記録や申し送りに抜けが出た。

職員同士で連携できず、利用者さんへの対応に影響が出た。

安全確認が十分にできない場面が生まれた。

こうした結果まで出ているなら、本人同士に「仲良くしてください」と求めるだけでは解決しにくい問題です。

体調や勤務継続に影響が出ている

人間関係による負担から体調を崩している。

出勤すること自体が難しくなっている。

勤務を続けられるかというところまで追い込まれている。

これも、「人間関係なんてどこにでもある」で済ませたくないサインです。

厚生労働省の「こころの耳」でも、管理監督者によるラインケアとして、労働者からの相談対応だけでなく、職場のストレス要因を把握し、職場環境を改善していくことが示されています。人間関係も、こうした職場のストレス要因の一つとして挙げられています。

だから、問題が個人の「好き・嫌い」にとどまらず、健康や職場環境にまで影響しているなら、本人同士だけで抱え続ける問題とは分けて考える必要があります。

当てはまる数より、内容で判断する

そして、暴力や人格を否定するような言動、安全を損なう行為などは、こうした項目が何個当てはまるかで判断するものでもありません。

一つの事実でも、相性として処理すべきではないことがあります。

「自分が気にし過ぎなのか」ではなく、起きている事実へ戻す

人間関係を相談しようとすると、

「自分があの人を嫌いなだけかもしれない」
「こんなことで管理者に言ったら面倒な職員と思われそう」
「自分でもう少し我慢した方がいいのかな」

と考えることがあります。

ここで、自分の感じ方が正しいか間違っているかを、頭の中だけで決めようとすると苦しくなります。

そんなときは、一度「好き・嫌い」から離れてみます。

見るのは、

  • 実際に何が起きているか
  • その状態が続いているか
  • 仕事にどんな影響が出ているか
  • 誰にどんな負担が出ているか

です。

たとえば、

「○○さんが怖い」

だけではなく、

「必要な確認を避けるようになっている」

「申し送りがされず、あとから確認することが増えている」

「関係の悪化から業務上のトラブルが起きている」

まで事実に戻してみる。

違和感を無理に消す必要はありません。

ただ、その違和感だけで結論を出すのでもなく、現場で起きていることを判断材料にする

そうすると、「これは自分が相手と合わないだけなのか」「職場として対応してもらう必要があるのか」が少し見えやすくなります。

管理者に入ってもらう目的は、苦手な相手を変えてもらうことではない

管理者へ相談するとき、

「あの人を注意してほしい」
「あの人を何とかしてほしい」

という気持ちになることもあると思います。

もちろん、問題のある行為があれば、職場として確認や対応が必要なこともあります。

ただ、この記事で考えたい管理者介入の目的は、相手を自分の望む人に変えてもらうことではありません。

人間関係から生じている業務上の支障や負担を止め、必要な連携ができる状態へ戻すことです。

たとえば、起きている事実を確認したり、必要な業務上の基準や連携方法を職場として整えたりすることです。

職員によって指示ややり方が違い、何を基準にすればよいか迷っている場合は、「介護職員によってやり方・指示が違うとき|基準を一本化する確認方法」で、職場の共通基準を確認する方法を整理しています。

「二人で仲良くしてください」で終わらせるのではなく、個人同士では整えにくくなった仕事の部分を、職場として整える。

そこに、管理者が入る意味があります。

だからこそ、「あの人が嫌い」という関係そのものより、

「その関係から何が起きているのか」

が大事になります。

必要な情報が来なくて困っている。

連携できず業務に支障が出ている。

同じ問題で複数の職員が困っている。

体調に影響が出ている。

こうしたことまで起きているなら、個人の我慢や相性調整だけに任せず、職場として状況を整理する意味があります。

管理者が入れば、必ず解決するとは限らない

ここは分けて考えておきたいところです。

「管理者の介入が必要な問題であること」と、「実際の介入が適切に行われたこと」は同じではありません。

私自身、管理者が対応したものの、

「それではあまり解決になっていないのでは」

と感じたことがあります。

対応の仕方によっては、指摘された側が反発し、かえって関係が悪化することもあります。

ただ、この記事でまず判断したいのは、

そもそも個人間だけに任せてよい問題なのか

という点です。

実際に相談したあと、職場がどう動いたかを見るのは次の段階になります。

相談するときは「人間関係」だけでなく、起きている問題を伝える

ここまで整理して、

「これは個人間だけでは難しそうだ」

と思ったら、管理者への相談を考える段階です。

そのときも、

「○○さんと合いません」

だけではなく、

実際に何が起きていて、それによって何に困っているのか

を伝える方が、問題の位置が伝わりやすくなります。

たとえば、

「関係が悪いこと自体より、必要な情報共有がされないことで困っています」

「職員同士の関係が原因で、実際に業務上のトラブルが起きています」

という整理です。

誰に相談するか、どの順番で伝えるか、具体的に何を整理して持っていくかは、別の記事で詳しくまとめています。

管理者へ相談すると決めたけれど、どう伝えればいいか迷っている場合は、「介護職の人間関係を相談するとき|相談相手・伝え方・最初の順番」で、相談相手と伝え方を整理しています。

相談しても変わらないなら、判断する段階が変わる

一方、すでに管理者へ相談しているのに、

  • 事実確認がされない
  • 必要な調整が行われない
  • 一時的に対応されても同じ問題が続いている

という状態なら、もう「管理者へ相談すべきか」を考える段階ではありません。

そのときは、相談した後の職場の反応を見て、次にどう動くかを判断する段階です。

同じ相談を繰り返すのか、別の相談先へ進むのか、今の職場で改善する余地があるのか。

相談したあとも改善する動きが見えない場合は、「介護職が上司に相談しても変わらないときの判断基準」で、再相談・別の相談先・次の判断のどこへ進むかを整理しています。

まとめ|「合う・合わない」ではなく、その関係から何が起きているかを見る

介護現場で人間関係に悩んだとき、

「管理者に言うほどなのかな」

と迷うことはあると思います。

そんなとき、相手を好きか嫌いかだけで判断しなくて大丈夫です。

まず見るのは、

その関係から、仕事や人に何が起きているか。

相性が悪くても、最低限必要な会話・確認・連携ができていて、仕事が回っているなら、距離を取りながら働ける場合もあります。

一方で、必要な情報共有ができない、業務上のトラブルが起きる、複数の職員が同じ問題を感じている、体調や勤務継続に影響が出ている。

そこまで来ているなら、「人間関係だから本人同士で」と抱え続ける話ではないかもしれません。

まず一つだけ、

「あの人の何が嫌か」ではなく、「その関係から実際に何が起きているか」

を書き出してみてください。

その一つの事実が、相性として距離を取ればよい問題なのか、管理者へ上げるべき問題なのかを考える材料になります。

著者プロフィール
なやま
なやま
介護職約10年|介護福祉士|心理資格3種|複数回の転職を経験 介護現場の人間関係・職場の理不尽・自責や「辞めたい」を、実体験と心理の両面から整理。 自分だけの問題だと抱え込まず、残る・相談する・異動する・転職するなど、次の行動を選ぶための判断材料を発信しています。

介護の仕事で感じたことや、私自身の経験・考え方はnoteでも書いています。

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