介護職の人間関係を相談するとき|相談相手・伝え方・最初の順番
介護現場の人間関係で悩んでいても、上司やリーダーへ相談するとなると迷うことがあります。
「こんなことで相談していいのだろうか」
「ただの愚痴だと思われないだろうか」
「告げ口をしたと思われて、余計に関係が悪くならないだろうか」
そう考えて、一人で抱え続けてしまう人もいると思います。
もちろん、人間関係の悩みを相談すれば、必ず解決するわけではありません。
それでも、報告や確認がしにくい、必要な情報が共有されない、相手との関係によって仕事までやりにくくなっているなど、一人では変えにくい問題があるなら、相談は一つの選択肢です。
相談するときは、次の順番で整理すると伝えやすくなります。
- 誰に相談するか
- 何が起きているか
- 仕事にどんな影響が出ているか
- 自分はこれまでどう対応したか
- 何を相談したいのか
「相手を何とかしてください」と訴えるだけではなく、職場で起きている問題を、対応できる人へ渡すイメージで考えてみてください。
人間関係の悩みを相談する目安は「仕事への影響」
職場には、どうしても合わない人がいます。
話し方が苦手だったり、考え方が違ったりするだけなら、ある程度距離を取りながら働けることもあります。
一方で、人間関係の問題によって、
- 必要な報告をためらう
- 分からないことを確認できない
- 必要な情報を共有してもらえない
- 職員によって対応が変わり、連携しにくい
- 利用者への対応にも影響が出そうになる
といった状態になっているなら、単に「合わない人がいる」で終わらせにくくなります。
介護は、一人だけで完結する仕事ではありません。
申し送り、報告、確認、記録、他職種との連携など、職員同士で情報をつなぎながら仕事をします。
そのため、人間関係の問題が連携を妨げているなら、個人の好き嫌いだけではなく、業務上の問題として相談できる部分があります。
また、まだ大きな支障にはなっていなくても、
「このままだと必要な確認までしにくくなりそう」
「一人で抱え続けるのがつらくなってきた」
という段階で相談してはいけないわけではありません。
さらに、暴力や人格を傷つけるような言動、安全に関わる問題などは、はっきりした業務支障が出るまで我慢してから相談する必要はありません。
強い言動が「必要な指導の範囲なのか、それとも行き過ぎた扱いなのか」と迷っている場合は、「介護職のパワハラかもしれないとき|指導との違い・記録・相談の順番」で、指導内容と扱われ方を分けて整理しています。
一方で、そこまで明確な問題とは言い切れなくても、「この程度で相談していいのだろうか」と迷う人間関係もあります。
その場合は、「相手が嫌いかどうか」だけではなく、この関係によって自分の仕事や連携に何が起きているかを考えてみると整理しやすくなります。
相性の範囲なのか、管理者が介入すべき問題なのかをさらに具体的に分けたい場合は、「介護現場で管理者が介入すべき人間関係の問題|相性との境界線」で、仕事や人への影響から判断する基準を整理しています。
まず、誰に相談するかを決める
相談すると決めたら、最初に考えたいのが相談相手です。
「とりあえず一番偉い人へ言えばいい」とは限りません。
最初の相談相手は、次の三つを目安にすると考えやすくなります。
日頃の状況をある程度知っている人
現場の状況をまったく知らない人より、普段の勤務や職員同士の関わりをある程度把握している人の方が、話を理解してもらいやすくなります。
職場によって役職名は違いますが、リーダー、教育担当、主任、フロア責任者などが候補になるでしょう。
必要なら問題へ働きかけられる人
話を聞いてもらうだけでなく、必要に応じて、
- 指導方法を確認する
- 職員間の認識をそろえる
- 報告方法を調整する
- 関係する職員から事情を確認する
といった対応につなげられる立場かどうかも大切です。
仕事上の支障を減らしたいのであれば、問題へ働きかけられる人を選ぶ必要があります。
問題の当事者ではない人
直属の上司へ相談するのが基本になっている職場もあります。
ただし、その上司自身との関係に困っている場合まで、その人だけに相談する必要はありません。
相談内容を適切に扱ってもらえないと分かっている場合も同じです。
その場合は、さらに上の責任者や管理者など、別の相談先を考えます。
役職の順番だけではなく、
- 「この人は状況を理解できそうか」
- 「必要なら対応できるか」
- 「相談した内容を預けても大丈夫そうか」
という視点で考えてみてください。
愚痴だけで終わらせず「事実・影響・相談したいこと」を伝える
相談するときに、感情をなくす必要はありません。
人間関係で苦しんでいるのですから、「つらい」「怖い」「困っている」という気持ちが出るのは自然なことです。
ただ、相談を受けた側が対応を考えるためには、気持ちだけでなく「実際に何が起きているのか」が必要になります。
そこで、話す内容を順番に整理します。
相談前に出来事を整理しておきたい場合は、「介護職が人間関係の相談前に残したい記録|事実メモの書き方」で、事実・自分への影響・相談したいことを分けて残す方法を整理しています。
なお、事実を整理することは、起きたことを必要以上に弱く言い換えることではありません。
強い言動や不適切な扱いが実際にあったのであれば、「自分が働きにくいだけ」と小さくせず、確認できていることはそのまま伝えて構いません。
1. 確認できている事実
最初に、相手の性格や気持ちではなく、実際に起きたことを伝えます。
たとえば、
「報告している途中で話を遮られることが何度かありました」
「私への申し送りだけ抜けていて、後から必要な情報を知ることがあります」
といった内容です。
「いつも威圧的です」
「私のことが嫌いなんだと思います」
という説明だけでは、相談を受けた側も何を確認すればいいのか分かりにくくなります。
相手の気持ちを推測するより、まず起きたことを置きます。
2. 仕事への影響
次に、その出来事によって何に困っているのかを伝えます。
たとえば、
「報告すると強く返されることが続き、確認が必要な場面でも声をかけにくくなっています」
「情報が共有されないことがあり、利用者対応を始める前に別の職員へ確認し直すことがあります」
という形です。
ここまで伝えると、「あの人が嫌い」という話だけではなく、仕事のどこに支障が出ているのかが見えやすくなります。
3. これまで自分がしてきたこと
自分なりに対応してきたことがあれば、それも短く伝えます。
「必要なことだけ簡潔に報告するようにしていました」
「分からない部分は別の職員にも確認していました」
などで十分です。
ここで「自分もこれだけ頑張った」と証明する必要はありません。
相談相手が、これまでの経緯を把握するための情報として伝えます。
特に自分で試したことがなければ、無理に作る必要もありません。
4. 何を相談したいのか
最後に、「この話をして、何を一緒に考えてほしいのか」を伝えます。
ここがないと、相談を受けた側も、
「話を聞けばいいのか」
「何か確認した方がいいのか」
「職場として対応した方がいいのか」
を判断しにくくなります。
たとえば、
- 「必要な報告ができるように、報告方法について一度相談したいです」
- 「職員によって指示が違うので、どの方法を職場として使うのか確認してもらえないでしょうか」
- 「自分だけではどう対応すればいいか分からないので、今後の対応を一緒に考えてもらいたいです」
という伝え方があります。
自分でも解決方法が分からない場合は、無理に答えを決める必要はありません。
「どうしたらいいか一緒に考えてほしい」と相談することもできます。
相談するときは、このくらい短くてもいい
実際に相談するとき、最初からすべてを完璧に説明する必要はありません。
たとえば、報告すると強い口調で返されることに困っているなら、
「少し相談したいことがあります。
○○さんへ報告すると、途中で強い口調で返されることが何度かあり、最近は必要な確認まで声をかけにくくなっています。
自分なりに簡潔に伝えるようにはしているのですが、今後どうしたらいいか一度相談させてもらえませんか」
くらいからでも始められます。
必要なことは、相談相手がそこから質問して確認できます。
相談前にすべての出来事を完璧に整理できなくても、まず一番困っていることを一つ伝えられれば十分です。
相談の目的を「相手を変えること」だけにしない
人間関係で苦しんでいると、
「相手を注意してほしい」
「相手に分かってほしい」
と思うこともあります。
その気持ち自体を否定する必要はありません。
ただ、相手がどう変わるかは、自分だけでは決められません。
相談するときは一度、
「自分は何に困っているのか」
「仕事上、何ができるようになれば少し楽になるのか」
へ戻してみます。
たとえば、
- 「必要な質問ができる状態にしたい」
- 「必要な申し送りを共有してほしい」
- 「人によって違う指示を整理してほしい」
という形です。
相手への注意や指導が必要になることもありますが、最終的に職場としてどう対応するかは、管理する側が判断する部分です。
自分はまず、何が起きていて、何に困っているのかを職場へ渡す。
そこまでを自分の役割として考えると、相談しやすくなることがあります。
相談しても変わらないことはある
適切な相手を選び、できるだけ整理して相談したとしても、必ず人間関係が改善するとは限りません。
相手が認識を改めることもあれば、職場側が間に入ってくれることもあります。
反対に、相談してもほとんど変化がないこともあります。
それでも、相談することで、
「自分一人だけの問題として抱えている状態」
から、
「職場も問題を認識している状態」
へ進むことがあります。
そして、相談したあとは、返事だけではなく職場がその問題をどう扱ったかも見てみます。
必要な事実確認をしたか。
関係する職員への確認や調整をしたか。
必要であれば、安全を守る対応や再発を減らすための動きがあったか。
その後の状況を確認しているか。
問題が一度で完全になくならなかったとしても、職場が改善する方向へ動いているかどうかは、その後を考える判断材料になります。
相談したあとも改善する動きが見えず、もう一度相談するか、別の上司へ相談するか迷っている場合は、「介護職が上司に相談しても変わらないときの判断基準」で、相談後の次の一手を整理しています。
まず一つ、相談したい支障を書き出してみる
人間関係について相談しようとすると、これまで嫌だったことを全部伝えたくなることがあります。
ただ、最初からすべて整理しようとすると、かえって動きにくくなります。
「この人との関係で、今いちばん困っていることは何か」
そのうえで、
- 何が起きているか
- 仕事にどう影響しているか
- 誰なら状況を理解し、対応できそうか
- 自分は何を相談したいか
を短く整理します。
相談は、問題を必ず解決してくれる方法ではありません。
それでも、一人で抱え込んで苦しんでいるのであれば、耐え続けることだけが選択肢ではありません。
職場へ伝えることで、まず状況を認識してもらう。
そこから始めてみてもよいと思います。
